6 月1日(水)5月が終わり6月になり、今日も愛知県では新型コロナウイルスの新規感染者数は1642人と高止まり水準です。

『暗闇のセレナーデ』は136頁まで読みました。

5月30日の未来研究会での、レジュメは ↓ こんな風でした。

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                  未来研究会 第27回レジュメ
                                                          2022年5月30日 
 『「世界」臨時増刊 ウクライナ侵略戦争-世界秩序の危機』

                             報告者=○○○○

Ⅱ グローバルな危機の実相 (P63~152)
 1.続・誰にウクライナが救えるか-最悪の戦争の暁に(筆者=酉谷公明    P64~)
 最悪の戦争である。
 すなわち100日になろうとしている現時点でも、終われなくなっている戦争、いわばエンドレスの袋小路に入りつつある戦争。
 ユーロマイダン革命
 2月24日に始まったロシアによる侵略戦争へ向けての発端となったと思われるウクライナでの政治的エピソード。ウクライナナショナリズムとロシアと西洋に引き裂かれる国民性の矛盾。+
 10年ことに革命が起こる
 「ウクライナという国は、国土の東と西とで、その歴史的な生い立ちと経済の成り立ちが大きく異なっている。そのため、皮肉にもソ連が崩壊すると、国家としてひとつにまとまりにくいという構造的な脆さとあらためて向き合うことになった。」(P67)
 ロシアはウクライナそのものを失った
「2014年の政変から五年以上が過ぎたこの街(キーウ)で、多くの市民はロシアにはっきり背を向けて、西のEUのほうを向いていた。東へおよそ600キロはなれたロシア国境に近いドンバスでは、ウクライナ軍と親ロシア派武装勢力との衝突が散発的につづいてはいたが(私の滞在中も毎日、数人のウクライナ軍兵士が犠牲になり、累計の死者数はその時点ですでに一万人を超えていた)」(P88)

  「覆水、盆に返らず」という。プーチン大統領は、同じスラプの兄弟国であるウクライナの人々が久しくロシアへ寄せてきた親和の情を失った。”ユーロマイダン革命“が転機だったのだろう。この国は東西の対立を克服し、ヨーロッパを向いて国民国家を形成しつつある。」(P69)⇒ 筆者の実感は極めて妥当なものだと思います。
 P70  ⇒  ロシアによるクリミア併合
 「NATOの東方拡大をどうするか。これは本来、東西冷戦終結ソ連崩壊後の”後始末“ともいうべき問題のはずだった。およそ30年前の一九九一年七月、ソ連政府は自らすすんで東側の軍事同盟であるワルシャワ条約機構を解体した。
 これに対し、西側のNATOはその後も営々と存続した。」
 最悪の戦争の暁に
 「1990年代前半、ロシアとウクライナのあいだには決定的とも言える問題がいくつか存在した。たとえばそれは、①クリミアの領有と黒海艦隊の帰属をめぐる問題であり、②核弾頭の撤去とロシアヘの譲渡をめぐる問題であり、③ウクライナに住むロシア人の権利と保護の問題であり、はたまた④石油と天然ガスの輸送パイプラインをめぐる問題などだ。
 多くの人々が武力衝突を予想したが、両国はかろうじてそれを回避してきた。それは、親ヨーロッパと親ロシアを志向する大統領が交互に選ばれて、東西のバランスが危ういながらも保たれてきたからではなかったかと思う。反面、そこに生じたさまざまな利権が、政治の腐敗と汚職を招く 一因になったのではあるが。」(P72)

 「結局、この戦争を終えられるのはウクライナではない。なぜなら、冒頭で記したように、真の当事者はロシアとアメリカなのだから。ロシアはさらに深く傷つき、長く国際社会から孤立するだろう。バイデン大統領は二0二ニ年秋にひかえた中間選挙を見据え、同盟の結束と全体主義に対する民主主義の勝利を訴えてロシアを追い詰めようとするだろう。だが、アメリカはもはやかつての超大国ではない。西側世界のより大きな課題が強大化したもうひとつの全体主義大国、中国への対処と、米・中の対立・競争にある点に変わりはない。その中国は静かなままだ。」(P72)

 「ロシアからの独立と、国家の存亡をかけたウクライナの戦いは続く。」(P72)

 2.ウクライナ戦争における武力行使の規制と国際法の役割
   (筆者=酒井啓宣    P73~)
 はじめに
 国連安全保障理事会と拒否権 ⇒ 機能不全。
 国連総会決議 ⇒ 国連憲章2条4項違反 ロシアの侵略戦争を非難。
 「今回のロシアの「特別軍事作戦」には著しく異なる特徴がある。
 ①第二次大戦後の秩序維持を担うべき国連の常任理事国が、国際法上十分とはいえない理由を挙げて隣国に対する侵略行為に至ったこと、そして②自国の安全保障を理由に自衛権を濫用するとともに、③そうした場合に機能すべき国連の集団安全保障制度を自らの手で不全に陥れたという二重の意味において、この軍事侵攻は戦後の国際秩序とその制度的保障に対する挑戦といえる」(P74)
 ロシアの「特別軍事作戦」は国際法上合法か?
 ▼個別的自衛権の主張とその国際法上の評価
 第一、武力行使禁止原則(国連憲章2条4項)にもとづき、ロシアのウクライナへの侵攻は違法 ⇒ ロシアに違法性阻却事由はあるのか ⇒ 国連憲章51条にもとづく個別的自衛権による正当化。その検討。
 「個別的自衛権を行使するためには、まず、相手国からの武力攻撃(armedattack)が先行して発生していることを必要とする。この武力攻撃は単なる武力行使ではなく、烈度の高い最も重大な形態の武力行使」…「規模と効果の観点から」…自衛権の行使と認定されるかどうか。⇒必要性および均衡性といった要件。(P75)
 ▼集団的自衛権の主張とその前提となる二つの「人民共和国」の「国家」承認」
 第二、「集団的自衛権は他国の権利を防衛する権利であることから、本件では、ロシアが国家承認を与えた「ドネツク民共和国」と「ルハンスク人民共和国」がその承認の前に主権国家として存在していたのかどうかが問われなければならない。」
 ウクライナによるジェノサイドという主張 ⇒ 救済的分離論を言わんとしている。
 ロシアによる二つの国家の承認は、ウクライナに対する内政干渉の可能性。
 二つの「共和国に対し、「ウクライナが単なる武力行使ではなく、その最も重大な形態である武力攻撃を行っていなければならない。この点も事実認定に依存するが、その存在は必ずしも自明ではない」
 ▼ウクライナによるシセェノサイドを防止するための武力行使という正当化
 第三、「1948年集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約、いわゆるジェノサイド条約にはロシア•ウクライナ両国とも締約国となっており、その一条で締約国は集団殺害(ジェノサイド)を「防止し処罰することを約束」している。しかし、この条約はジェノサイドの防止を目的とした武力行使を締約国に認めてはいない。」(P77-78)

 「特別軍事作戦」の攻撃形態は国際法に違反しないのか?

 ウクライナ戦争における武力紛争法の具体的適用

 国際法にはいかなることが可能なのか?
 P80
 ▼国際連合の集団安全保障制度の根幹と欠陥

 ▼ロシアの軍事活動に対する国際司法裁判所の命令
 武力紛争法に違反する行為を行ったロシアに対して「訴追の対象となる戦争犯罪についてその一部のみ指摘すると、まず①文民への攻撃はICC規程八条二項…略…、また②一般市民の住居やインフラ等の民用物への攻撃は八条二項…略…、③学校や病院への攻撃は八条二項…略…、マリウポリにおける人道物資も届けられないような状況は八条二項…略…、④ウクライナ東部で行われたとされる住民の強制移送や市長の誘拐は八条二項…略…、にそれぞれ違反することになる。

 ▼国際社会によるロシアヘの経済制裁
 次の論考か詳述。

 おわりに
 141カ国がロシアのウクライナ侵略戦争に反対し、直ちに撤退を求めたことを今後も生かしていくことが大切だと思いました。


 3.強力対ロシア制裁で世界経済はどうなるか(筆者=小田健       P86~)
 ロシアのウクライナ侵略戦争に反対するための、ロシアに対する日本を含む欧米を中心とした多様で強力な経済制裁の具体的内容とその世界経済に及ぼす影響を詳細に記述。
 P88冒頭から第1弾ノルストリーム2の解説。下段は第2弾SWIFTの解説。
 米英、エネルギーを全面禁輸
 第3弾原油、第4弾天然ガス
 外貨準備凍結という荒業
 第5弾P90-冒頭から解説。
 「ロシアの外貨準備高は現在、約6400億ドル。中国の約3兆4000億ドルには及ばないが、世界第四位だ。ソ連崩壊後の度重なる経済危機を踏まえ、まさかの時のためにこつこつと貯め、米欧の中央銀行などに預けてきた。日銀にも円建てで約4兆円があるといわれる。」(P90)
 第6弾ロシア国債の格付け
 第7弾「財政部より」金融分野以外では、G7が三月――日、ロシアからの輸入品について最恵国待遇を取り消すことを決定、ハイテク製品などの対口輸出を禁止した。西側諸国とロシアとの間の航空便の往来もなくなった。」
 豪華船が好きなオリガルヒ
 第8弾P91
 中国やインドに通じる”抜け道”
 ロシアの原油は、今、中国とインドに向けてどんどんタンカーが出ていると報道されています。
 国有化ちらつかせるロシアの対抗措置
 ドイツのシーメンスの撤退により、ロシアでの鉄道・航空事業は破綻へ。
 世界経済への悪影響
 ロシアのGDPは世界11位、日本の1/3。
 P94-95に解説。物価高、エネルギー、食料の危機的事態。
 日ロビジネス冬の時代


 4.「紛争化させられる過去」再論(筆者=橋本伸也    P97~)
 政治的・歴史的イデオロギーと、ロシア・東欧に見る歴史修正主義についての論考。
 ロシア史などを考察する際の論理的枠組みについての定義、規定的なアプローチ。
 とくにロシアとウクライナの過去。
 プーチン政権と「記憶の政治」
  P100下段、プーチン氏とバイデン氏はメダルの裏表。

  以下、略。

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とんでもない長さになってしまいましたが、本日もこんなところで。

ロシアはウクライナ侵略戦争を直ちにやめよ!

ウクライナに平和を!